コース案内

新道コース

新道コース
凡例
秋田駒ヶ岳 登山道 新道コース 片倉岳
秋田駒ヶ岳 登山道 新道コース 片倉岳
片倉岳から田沢湖を望む
片倉岳から田沢湖を望む
新道コース 詳細

メインストリートといえる「新道コース」

美しい高山植物を求めて年間4万人とも5万人とも言われる登山客を迎える秋田駒ヶ岳。その大部分がこの新道コースを利用する、いわばメインストリートである。それは簡便であることにもよるが、秋田駒ヶ岳・乳頭山エリアに植生する300を超える高山植物のうち大部分を見ることができる、贅沢かつ濃密な花を満喫できるからである。

まずはゆっくり片倉岳展望台まで

八合目の小屋を背にして頂上方向に向かうと3つの登山道コースがある。水場の左からの道は笹森山から湯森山、笊森山、そして千沼ヶ原につながるコース。真ん中は焼森に出る、いわゆるシャクナゲコースである。新道コースは右側、八合目小屋を背にまっすぐ伸びた階段状の道を進む。
初めての人は、まず片倉岳展望台までの30分を第一目標にすれば良い。阿弥陀池までの新道コースできついのは登りだし部分だけで、到着できれば目標は達成されたも同然だ、と思う。片倉岳から先が色とりどりの花々で被われているかもしれないが、よく見るとノウゴウイチゴやゴゼンタチバナ、サンカヨウ、ウラジロヨウラク、ヤマハハコ、そして秋はオクトリカブトなど見所も多い。
やがて酸化鉄を含んだ赤い土の開けた場所にでる。ここが高倉展望台である。眼下に日本一の深さを誇る田沢湖を眺めながらしばしの休息をとろう。

百花繚乱のお花畑を歩く

さて片倉展望台から阿弥陀池までが、メインステージともいうべきお花畑である。よくもまあこんなに多くの、と思うくらいたくさんの高山植物を楽しむことができる。特に6月下旬から8月中旬までには正しく百花繚乱、花の山秋田駒ヶ岳の真骨頂である

男女岳コース

男女岳コース
凡例
男女岳を望む休憩中の登山者
男女岳を望む休憩中の登山者
男女岳コース 詳細

阿弥陀池から主峰・男女岳へ

花に見とれながらあるいているうちに阿弥陀池に到着する。池の周囲は木道が敷かれ、右手に進めば男岳へ分岐が、左手が主峰・男女岳、そして対岸にあるのが阿弥陀池小屋だ。
阿弥陀池小屋の後方には浄土平と呼ばれる湿原が広がる。ここのヒナザクラの大群落は圧巻である。また秋のミヤマリンドウも見逃せない可愛らしさだ。阿弥陀池の周囲も花の種類が多く、これまでの疲れを癒してくれる。しばしの休息の後、主峰・男女岳頂上に向かう。頂上までは休み休みでも20分ほどである。火口跡の窪みのある頂上からは裏岩手山の威容や笹森山、湯森山、笊森山、乳頭山へと連なる南八幡平が一望できる。360°の大パノラマを存分に楽しんで阿弥陀池に下る。
復路は新道を下りても良いし、横岳から焼森を経て、シャクナゲコースを下りるのも良い。

男岳コース

男岳コース
凡例
秋田駒ヶ岳の男岳山頂にある神社と青空
秋田駒ヶ岳の男岳山頂にある神社と青空
男岳コース 詳細

阿弥陀池から信仰の山・男岳へ

花に見とれながらあるいているうちに阿弥陀池に到着する。池の周囲は木道が敷かれ、右手に進めば男岳へ分岐が、左手が主峰・男女岳、そして対岸にあるのが阿弥陀池小屋だ。男岳に向かって上りだす間もなく男岳から横岳に連なる稜線にでる。左は馬の背を通って横岳へ、さらにほぼ正面の道は馬場の小路、駒池にでるルートである。右に進めば男岳、かつてはここが秋田駒ヶ岳の主峰であった。男女岳はかなり限られたところからしか見えないのに対して男岳は実によく見える。仙北平野から見える秋田駒ヶ岳は男岳そのものであり、そしてその姿は山岳信仰にふさわしく荒々しさと威厳に満ちている。男岳山頂には駒形神を祀る石の祠があり、今も多くの人が参拝に訪れる。

シャクナゲコース

シャクナゲコース
凡例
シャクナゲコースから見下ろす八合目小屋
シャクナゲコースから見下ろす八合目小屋
焼森からの横岳と男岳
焼森からの横岳と男岳
シャクナゲコース 詳細

ハクサンシャクナゲ
シラネアオイを満喫する

一般的に下山に使用されることの多いコースだが、新道コースが混雑していたり、焼森に短時間で到着したいときには往路として上るのも良い。新道コースに歩を進めてすぐ、左側に木道が見えてくる。これがこのコースの登山口だ。足元にマイヅルソウやゴゼンタチバナの可憐な姿を見つけながら上りだして間もなく、道の両側にはハクサンシャクナゲに被われる。このコースがシャクナゲコースといわれる所以である。なかなか満開のタイミングに出会うことの難しいシャクナゲであるが、運よく出会えたら忘れられない感動を得ることは間違いない。
しばらくシャクナゲの道を楽しむと少し下って沢を徒歩する。岩にペンキで書かれた矢印をつたって対岸に行く。このあたり赤倉沢源流部は6月頃シラネアオイの群生を楽しむことのできる場所である。残雪がまだたっぷり残っている時期、北側斜面には薄紫の情緒豊かな姿がミヤマハンノキの横で輝いている。

タカネスミレ・コマクサと出会う

赤倉沢を渡ったあたりから少し歩きにくさを感じるだろう。大きな段差が何ヶ所かあり、単独行には難儀に思うかもしれない。樹高がだんだん低くなり、ハイマツが左右に見え出すあたりから、道は黒く細かい火山砂礫に変わる。急登、滑りやすい、このルートを復路に使う人が多い理由である。あせらず、一歩ずつ歩を進めると右にタカネスミレとコマクサの群生地、焼森が姿を現す。ここも大焼砂同様ロープが張られている。 ここの頂上は南八幡平縦走路との分岐点であり、右手・南西方向は横岳へ、東方向へは湯森山、笊森山へとつながる稜線の縦走路である。

コマクサコース

コマクサコース
凡例
大焼砂の登山道
大焼砂の登山道
コマクサコース 詳細

高山植物の女王コマクサを楽しむ

このコースの目当ては、大焼砂のコマクサとコースの先の「馬場の小路コース」の小岳の裾にひろがるチングルマの大群生であろう。高山植物の人気の1位・2位を争うコマクサとチングルマが僅かな汗で見られる贅沢なコースだ。阿弥陀池から火口原へはいくつかコースがある。ただ往路と復路を違うコースで、とした場合、大焼砂を上って横岳頂上の分岐に向かうコースは、ビギナーには評判が芳しくないようだ。勾配は緩やかだが、サラサラとした火山砂礫は歩きにくく体力を消耗する。さらに向かい風の日などは横岳分岐がなお遠く感じられる。馬場の小路から男岳分岐の急登は短時間ですむ分意外に楽である。というわけで、阿弥陀池から横岳頂上へ向かう。木道の東側から伸びた道を上がっていくと、間もなく男岳、馬の背から続く稜線へ出る。これを左に少し歩くと横岳頂上に着く。ここはT字路状になっており直進すれば横森や乳頭山への縦走路で、右に下れば国見温泉につながる大焼砂である。日本最大級といわれるコマクサの大群生は大焼砂にある。
オヤマソバやイワブクロ、早い時期はタカネスミレなどを楽しみながらここからが大焼砂、コマクサの大舞台である。黒色の火山砂礫の上に無数のコマクサが吹き上げる風揺れながら咲く様は、誰が言い出したかは解らぬが、高山植物の女王というにふさわしいと思う。
この花が種を落とし、根付いて花を咲かせるにいたる確率は気が遠くなるほど僅かなものだと聞いた。しかも人間が側まで立ち入るとその重さで根が傷つき、枯らしてしまうという。両側にロープが張ってあるので、絶対にロープの外には出ないで欲しい。

馬場の小路コース

馬場の小路コース
凡例
チングルマ満開のムーミン谷
チングルマ満開のムーミン谷
駒池に映る男岳
駒池に映る男岳
馬場の小路コース 詳細

チングルマの大群落と
伝説の地を訪ねる

コマクサを十分に堪能したら、Uターンの登山道に入り火山砂礫の道は終わり、行く手をウラジロヨウラクなどの木々が遮る。ここを越すとチングルマの大群落そして歴史と伝説に彩られた駒池・馬場の小路にいたる。ここには木道が敷設された。私たちが歩いたあとの窪みは水を集めて川のようになり、さらに大きな窪みになる。すると歩きにくいからその脇を歩く。そうして同じことが繰り返されどんどん窪みは拡大していくわけだ。これは周囲の乾燥化を招き、植物の生態系を壊すことになる。植物の生態系維持にとって、人間は迷惑千万な存在である。だからこそ歩かさせていただきます、くらいの謙虚さと自然の大切さを忘れず山に入るべきだろう。それにして小岳の裾野に広がるチングルマの大群落は見事である。年によって多少の違いはあるが、タイミングさえ間違わなければまず期待を裏切らない。チングルマだけではない。このあたりは南限とされるエゾツツジやヒナザクラも大群落を作る。「花の谷」と呼ぶ人、通称ムーミン谷と形容する人、どちらも素直にうなずいてしまうほど、いつ来ても感動する。年々、ここを目当てで登ってくる人が増えている。
さらに直進すると男岳と女岳に挟まれた谷に着く。
この谷にはガスがかかると神様が乗った馬が駆け抜ける蹄の音がする、という伝説からこの辺りを馬場の小路と呼ぶ。ファンタジックな良い名前だ。馬場の小路の三叉路を左に行けば女岳あるいは五百羅漢につながる道、女岳への登山は現段階ではすすめていない。右にルートを取って男岳分岐に登る。見た感じかなりきつそうだが、この登り斜面も楽しみの多いところで花を眺めながらゆっくりいけば大丈夫だ。シラネアオイを遅くまで楽しめるのがここ。