どんな山?

みちのく最大級の高山植物を誇る花の山

秋田駒ヶ岳を一言で表現するといえばやはり「花の山」といえるでしょう。花のシーズンには数えきれない程の花が咲き乱れ、登山する人の心をワクワクさせてしまう魅力を持った山です。
北アルプスの3,000メートル級の山に登らなければ見られない山の花々が、登山道のすぐ側に次々に現われ飽きさせない山、それが秋田駒ヶ岳なのです。ではなぜ、標高1,700メートルにも満たない秋田駒ヶ岳が「高山植物の宝庫」といわれるようになったのでしょうか?

なぜ1,700メートルにも満たない山が高山植物の宝庫になったのか

それは緯度的な要因と、気候的な要因が重なって、花の山が根付いたと思われます。位置的には北緯40度のラインのすぐそば、気候的には地元で「やませ」と呼ばれる東風(オホーツクから来る冷涼な風)、それらが地球規模の歴史とあいまって、ここに高山植物の楽園をつくりあげたと思われます。秋田駒ヶ岳の標高500メートルからの植物分布を見ると、落葉広葉樹のブナ林が中心となり、標高1,200メートル付近まで勢力をのばしていきます。標高1,100メートルのダケカンバが目立ちはじめ標高1,400メートル付近まで見られます。
高山植物と呼ばれる花々は標高1,200メートルぐらいから現われ、秋田駒ヶ岳の最高峰1,637メートルの男女岳までに徐々にその数を増やしていきます。標高1,300メートルの八合目まで登ると高い木は全く見られなくなり、駐車場のすぐ脇でも高山植物が見られるようになります。

片倉岳展望台からはじまる、本格的な高山植物帯

本格的な高山植物帯は標高1450メートルの「片倉岳展望台」から始まります。大正15年、国の特別天然記念物として指定された「阿弥陀池(あみだいけ)」周辺の植生、また日本でも1・2位を争うコマクサ群落、見事なチングルマの谷など、花のステージが広がります。
秋田駒ヶ岳のもうひとつの魅力は「誰にでも登れる山」であることです。標高1,300メートルの八合目まで自動車で登ることができ(但しマイカー規制あり)、そこからゆっくり歩いて1時間30分ほどで1,637メートルの頂上に立つことができるのです。途中、眼下には田沢湖、遠くには鳥海山などが眺められ頂上に立つと360度、まったくさえぎる物のない眺望が展開しています。八合目からの標高差337メートル、登山道は危険なところはなく、子どもから年配の方までハイキング気分で登れるといえるでしょう。